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貧血の治療

当院では、鉄欠乏性貧血の診断・治療や、健康診断で指摘を受けた方の二次検診を行っています。貧血には様々なタイプが存在し、鉄分不足以外にもビタミン欠乏や骨髄の病気、慢性疾患などが背景にあることも少なくありません。当院では可能な限り詳細な原因究明を行い、必要に応じて血液疾患の専門医とも連携しながら、患者様一人ひとりに最適な治療を提供いたします。

貧血の定義と主な症状

貧血とは、血液中のヘモグロビン(血色素)濃度が低下した状態を指します。WHO(世界保健機関)による基準では、以下の数値未満の場合に貧血と診断されます。

対象 診断基準(Hb値)
成人男性 13 g/dL未満
成人女性 12 g/dL未満
妊婦 11 g/dL未満

主な症状には、疲れやすさや全身の倦怠感、動悸、息切れ、めまい、立ちくらみ、顔色の不良などがあります。これらの症状は徐々に進行するため自覚しにくい場合もあり、注意が必要です。

貧血の主な種類とその原因

鉄欠乏性貧血

貧血の中で最も頻度が高く、月経や消化管からの出血、妊娠・授乳による鉄分の需要増大が主な原因です。赤血球が小さくなる小球性低色素性貧血という特徴があります。

近年では、ヘモグロビン値が正常でも貯蔵鉄が不足している潜在性鉄欠乏が注目されています。血清フェリチンが30ng/mL未満の状態では、倦怠感や集中力の低下、脱毛などの症状が現れることがあります。

また、男性や閉経後の女性に鉄欠乏が見られる場合は、背景に大腸がんや胃がんなどの消化管疾患が隠れている可能性があるため、内視鏡検査による精査が極めて重要です。

巨赤芽球性貧血(ビタミン欠乏性貧血)

ビタミンB12や葉酸の不足により、赤血球が大きくなる大球性貧血を引き起こします。胃の手術を受けた方や高齢者、偏った食生活の方に見られ、手足のしびれといった神経症状を伴うこともあります。

慢性疾患・炎症に伴う貧血(ACD)

慢性腎臓病や関節リウマチ、悪性腫瘍などに伴って起こる貧血です。特に慢性腎臓病に伴う腎性貧血では、近年HIF-PH阻害薬という新しい内服薬が登場し、外来治療の選択肢が広がっています。

溶血性貧血および骨髄疾患

赤血球が体内で壊れてしまう溶血性貧血や、骨髄の造血機能が低下する再生不良性貧血、骨髄異形成症候群などがあります。これらは専門的な精密検査と治療が必要となる疾患です。

薬剤性貧血

抗がん剤や一部の抗菌薬、またプロトンポンプ阻害薬の長期服用による吸収障害などが原因となる場合があります。現在お薬を服用中の方は、診察時に必ずお知らせください。

貧血を診断するための主な検査

原因を特定し、適切な治療方針を立てるために以下の検査を実施します。

血液一般検査 ヘモグロビン、MCV(平均赤血球容積)、網赤血球数など
鉄代謝関連検査 血清鉄、血清フェリチン、TIBC(総鉄結合能)、TSAT
ビタミン検査 ビタミンB12、葉酸の濃度測定
腎機能・炎症反応 クレアチニン、CRP、ESR(赤沈)など
追加精密検査 末梢血塗抹標本、内視鏡検査、骨髄検査(専門医紹介)

各原因に応じた治療法

鉄欠乏性貧血の治療

経口鉄剤による補充が基本です。吐き気や便秘などの副作用が生じる場合は、製剤の変更や服用方法の調整を行います。貧血の改善だけでなく、貯蔵鉄(フェリチン)が十分に回復するまで継続することが重要です。

副作用で内服が困難な場合や、早期の改善が必要な場合には静注鉄剤を使用します。少ない投与回数で効率よく補充できる新薬も普及しており、患者様の負担軽減につながっています。ただし、過剰投与を防ぐため定期的な血液検査によるモニタリングが不可欠です。

ビタミン欠乏およびその他の治療

ビタミンB12や葉酸の欠乏に対しては、それぞれの補充療法(注射または内服)を行います。その他の特殊な貧血については、原因となる原疾患の治療を優先し、必要に応じて血液内科などの専門医療機関へスムーズにご紹介いたします。

「たかが貧血」と放置せず、疲れやすさやめまいを感じる方、健康診断で再検査を勧められた方は、お早めにご相談ください。

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