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睡眠時無呼吸症候群の治療 CPAPについて

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

睡眠時無呼吸症候群とは、眠っているときに「無呼吸(10秒以上呼吸が止まること)」または「低呼吸(呼吸が著しく浅くなること)」が、1時間あたり5回以上、あるいは7時間の睡眠中に30回以上繰り返される病気です。医療現場では SAS(Sleep Apnea Syndrome)と略して呼ばれます。

国内の潜在患者数は500万人ともいわれていますが、実際に治療を受けている人は1割程度にとどまると推計されています。見過ごされやすい病気ですが、放置すると生活の質を大きく損なうだけでなく、重大な合併症のリスクを高めます。

睡眠時無呼吸症候群の種類と病型

睡眠時無呼吸症候群は、その原因によって主に以下の2種類に分類されます。

閉塞性睡眠時無呼吸(OSA) 最も多いタイプです。睡眠中に空気の通り道(上気道)が狭くなることで呼吸が止まります。肥満、小さい顎、舌根沈下、飲酒、睡眠薬の使用、鼻炎による鼻づまりなどが主なリスク因子として挙げられます。Hyo-Med University Hospital
中枢性睡眠時無呼吸(CSA) 脳から呼吸をする指令が適切に送られなくなることで生じます。脳卒中や心機能低下において比較的よくみられますが、発症のメカニズムはまだ完全には解明されていません。

注目される関連疾患:上気道抵抗症候群(UARS)

のど(上気道)が完全には塞がらないものの、空気が通りにくくなることで眠りが繰り返し浅くなってしまう病気です。気道は完全に閉塞しないため血中酸素は保たれていますが、呼吸努力が脳への刺激となり覚醒反応(RERA)を繰り返します。典型的なSASのような「いびき」や「強い眠気」が目立たないため見過ごされやすく、標準体型の若い女性に多いという特徴もあります。慢性的な疲労感や熟睡感のなさが続く場合は、本症候群も念頭に置いた評価が必要です。

女性の睡眠時無呼吸症候群

女性は閉経後に無呼吸が増加する傾向があります。閉経前は女性ホルモンのプロゲステロンが上気道の筋肉活動を高めるため男性より発症しにくいですが、閉経後には閉経前の約3倍も合併しやすくなるといわれています。また、女性の無呼吸は男性と異なり、日中の眠気やいびきを伴わない場合も多く、診断が遅れやすいため注意が必要です。

こんな症状がある方はご相談ください

以下の症状に心当たりがある場合は、早めの受診をお勧めします。

  • 大きないびきをかく(家族などに指摘される)
  • 睡眠中に呼吸が止まる(家族などに指摘される)
  • 日中に強い眠気がある、居眠りをしてしまう
  • 熟睡感がない、夜中に何度も目が覚める
  • 起床時に頭痛がある
  • 集中力・記憶力の低下
  • 気分の落ち込み・抑うつ
  • 夜間頻尿
  • 口・のどが渇く
  • 足がつる(こむら返り)
  • 倦怠感・疲れがとれない
  • 高血圧・糖尿病・脂質異常症の管理が難しい

放置すると危険な合併症とリスク

睡眠時無呼吸症候群は単なる「いびき」の問題ではなく、全身疾患へ深刻な影響をもたらします。

心血管疾患・高血圧 SAS患者の約50%は高血圧を合併しているといわれています。虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)の発症リスクは、健常者と比べて1.2〜6.9倍との報告があります。
糖尿病・メタボ 習慣的にいびきをかく人は糖尿病のリスクが2倍になるという報告もあり、睡眠時無呼吸症候群と糖尿病は非常に関連が深いことが知られています。
認知機能への影響 高齢のSAS患者では脳の萎縮と認知機能の低下が確認されており、認知症の進行との関連も示唆されています。
交通事故リスク 日中の眠気により事故のリスクが高まります。適切な治療(CPAP療法)を継続し、症状が改善していることが証明できれば、運転業務を続けることが可能です。

睡眠時無呼吸症候群の治療法

CPAP(シーパップ)療法

睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道が塞がるのを防ぐ治療法です。現時点で中等度以上のSASに対するもっとも確立された治療とされています。健康保険が適用されます。当院では毎月の受診で使用状況や効果を確認しながら、継続的にサポートいたします。

生活習慣の改善

体重管理、禁煙、節酒、運動などの是正が重要です。特に就寝前の飲酒は症状を悪化させるため、禁止が推奨されています。軽症例やCPAP導入前の段階として、生活指導を合わせて行います。

マウスピース(口腔内装置)療法

軽度〜中等度のSASに有効な治療法ですが、当院では実施しておりません。必要な方には、提携する歯科・口腔外科の専門施設へご紹介いたします。

外科的治療・その他の専門的治療

鼻やのどの形態に問題がある場合や、CPAP・生活改善だけでは対応が難しい場合は、耳鼻咽喉科などの医療機関へご紹介いたします。中枢性(CSA)の場合は、心不全などの基礎疾患の治療を優先します。

診断のための検査について

睡眠時無呼吸症候群の診断には、主に以下の検査を行います。

簡易検査(自宅) 自宅で行う携帯型の機器を用いて、呼吸パターンと血中酸素濃度を測定します。比較的健康状態が良好な方に適したスクリーニング検査です。
精密検査(PSG) 入院のうえ、脳波・呼吸・心電図などを同時記録する標準的な精密検査です。重度の心肺疾患や脳卒中の既往がある方に強く推奨されます。

まずは簡易検査から実施し、必要に応じて精密検査を行います。「いびきが気になる」「熟睡できない」など、お気軽にご相談ください。

参考:睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020 / 日本循環器学会 2023年改訂版循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン

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