排尿障害の治療
排尿障害とは|尿の悩みと主な原因
排尿障害は、何らかの原因で排尿が困難になる、あるいは排尿のコントロールが障害される病気の総称です。尿をためる「蓄尿」と尿を出す「排出」の両方の機能に問題が生じることがあります。
主な症状と尿トラブルの種類
排尿に関するトラブルは、その現れ方によってさまざまな種類に分類されます。
尿の量や回数に関する変化
| 多尿 | 1日の尿量が2,500mlを超える状態です。糖尿病、尿崩症、過剰な水分摂取などが原因となります。 |
|---|---|
| 頻尿 | 昼間の排尿回数が8回以上、または就寝中に1回以上の排尿がある状態(夜間頻尿)を指します。主な原因は過活動膀胱、膀胱炎、前立腺肥大症などです。 |
| 乏尿・無尿 | 乏尿は1日400ml未満、無尿は1日100ml未満の状態をいいます。腎機能障害のサインである可能性があるため、早急な受診が必要です。 |
排尿時の違和感や出しにくさ
| 尿意切迫感 | 突然、強い尿意が生じて我慢することが難しい症状です。過活動膀胱の代表的な症状として位置づけられています。 |
|---|---|
| 排尿困難 | 尿が出にくい、尿の勢いが弱い、あるいは排尿に時間がかかる症状の総称です。 |
| 尿閉 | 膀胱に尿が溜まっているにもかかわらず、まったく排出できない状態です。急性尿閉の場合は救急処置が必要になることもあります。 |
| 残尿感 | 排尿後も尿が残っているように感じる症状です。実際に残尿がある場合と、感覚のみの場合があります。 |
過活動膀胱(OAB)の主な症状
頻尿・夜間頻尿・尿意切迫感を主症状とする疾患で、近年広く認知されるようになりました。切迫性尿失禁を伴うこともあり、薬物療法や骨盤底筋訓練が有効です。
尿漏れ(尿失禁)の分類と特徴
自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう症状を尿失禁と呼び、主に以下の4つのタイプに分けられます。
| 腹圧性尿失禁 | 咳やクシャミ、運動などでお腹に力が加わった際に漏れるタイプです。骨盤底筋の弛緩が原因で、女性に多く見られます。 |
|---|---|
| 切迫性尿失禁 | 強い尿意とともに、我慢できずに漏れてしまうタイプです。過活動膀胱に伴って起こることが多くあります。 |
| 溢流性尿失禁 | 膀胱がパンパンに充満し、溢れ出すように少しずつ漏れる状態です。前立腺肥大症などで起こりやすいのが特徴です。 |
| 混合性尿失禁 | 腹圧性と切迫性の両方の症状が混在している状態を指します。 |
骨盤臓器脱との関連性
子宮や膀胱などが膣から脱出する骨盤臓器脱は、尿失禁や排尿困難の大きな原因となります。特に女性の排尿障害において非常に重要な疾患です。
排尿障害の背景にある主な疾患
症状の背景には、さまざまな臓器の病気が隠れていることがあります。
| 前立腺肥大症(BPH) | 中高年男性に多く、排尿困難や頻尿の代表的な原因です。 |
|---|---|
| 神経因性膀胱 | 脳卒中、脊髄障害、糖尿病性神経障害などにより膀胱の神経機能が阻害された状態です。 |
| 間質性膀胱炎 | 細菌感染を伴わない慢性的な炎症で、強い膀胱痛や頻尿を伴います。 |
| 夜間多尿 | 夜間の尿量が過剰になる状態で、睡眠時無呼吸症候群との関連も指摘されています。 |
排尿障害の診断と適切な治療方針
治療は、原因となっている疾患や症状の程度に合わせて適切な方法を選択します。
生活習慣の改善とセルフケア
| 水分コントロール | 水分やカフェイン、アルコールの摂取量を適切に調整します。 |
|---|---|
| 骨盤底筋訓練 | 腹圧性尿失禁などに有効な、尿道を締める力を鍛える訓練です。 |
| 排尿日誌の活用 | 排尿の時間と量を記録し、ご自身の排尿パターンを把握します。 |
医療機関で行う専門的な治療
| 薬物療法 | 過活動膀胱には抗コリン薬やβ3作動薬、前立腺肥大症にはα1遮断薬などが処方されます。 |
|---|---|
| 手術療法 | 前立腺肥大症に対するTURP(経尿道的前立腺切除術)や、尿失禁に対するスリング手術などがあります。 |
| 神経調節療法 | 薬物療法で改善しない場合、仙骨神経刺激療法(SNS)などの専門的な治療が検討されます。 |
排尿に関する症状は、日常生活の質に大きく影響します。当院では薬物療法を中心に行いますが、症状の程度や病状に応じて専門の医療機関へご紹介致しておりますのでご相談ください。
