帯状疱疹(ヘルペス)・帯状疱疹後神経痛の治療
帯状疱疹とは:原因と症状の特徴について
帯状疱疹は、子どもの頃にかかった水痘(水ぼうそう)のウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス:VZV)が原因となる病気です。一度水ぼうそうが治った後も、ウイルスは神経の中に長年潜んでいますが、加齢・過労・ストレス・病気などで免疫力が低下したときに再び活性化し、帯状疱疹として発症します。日本では年間約60万人以上が発症しており、高齢化社会の進展とともに患者数が増加傾向にある重要な疾患です。
帯状疱疹の初期症状と経過
はじめに体の左右どちらかの神経に沿って、痛み・かゆみ・違和感などの前駆症状が現れます。ピリピリ・ジンジン・ズキズキするといった表現で訴えられることが多く、しばらくすると神経に沿った帯状の赤い発疹が出現します。その後、数日~1週間ほどで水ぶくれへと変化し、かさぶたになって治癒していきます。発疹が出てから皮膚症状が目立たなくなるまで、一般的に3週間ほどかかります。発疹は胸や腹などの体幹部に多いですが、顔・目の周り・耳にも起こることがあります。
周囲への感染リスクと日常生活の注意点
帯状疱疹そのものは、体内のウイルスが再活性化する病気であるため、人から人へと帯状疱疹として直接うつることはありません。ただし、水ぼうそうにかかったことがない人(主に乳幼児)や免疫が低下している人が、水ぶくれに直接触れると、水ぼうそうとして発症することがあります。水ぶくれがかさぶたになるまでは、感染力のある時期です。妊娠中の方や免疫が低下している方は特に注意が必要です。
帯状疱疹の深刻な合併症と後遺症
帯状疱疹は皮膚の症状だけでなく、神経へのダメージによって重い後遺症を残すことがあります。早期に治療を開始することで、これらのリスクを軽減することが重要です。
帯状疱疹後神経痛(PHN)
皮疹が消えた後も90日以上にわたって強い痛みが続く、帯状疱疹の最も重要な合併症です。50歳以上では約5人に1人に発症するとされており、焼けるような、あるいは刺すような激しい慢性の痛みが続き、日常生活や睡眠に深刻な影響を及ぼします。早期の適切な治療が予防のカギとなります。
注意が必要なその他の合併症
| ラムゼイ・ハント症候群 | 耳の神経に生じると、顔面神経麻痺、めまい、耳鳴り、難聴などを引き起こすことがあります。 |
|---|---|
| 眼帯状疱疹 | 目の周囲に生じた場合、角膜炎やぶどう膜炎を引き起こし、視力障害につながる恐れがあります。 |
帯状疱疹の治療方法と早期対応
治療の基本は、ウイルスの増殖を抑えることと、痛みをコントロールすることです。特に発症から72時間以内の対応が重要です。
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抗ウイルス薬による治療
ウイルスが活発に増殖している初期段階で服用を開始することで、最も高い効果を発揮します。近年では、1日1回の服用で済み、腎機能に応じた用量調節が不要なアメナメビルなども普及しています。 -
鎮痛薬の使用
急性期の痛みには、アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬が用いられます。痛みを我慢しすぎないことが、精神的な負担の軽減にもつながります。 -
神経障害性疼痛の専門治療
帯状疱疹後神経痛(PHN)に移行した場合は、プレガバリンやミロガバリンなどの神経障害性疼痛治療薬を使用します。場合によっては、専門施設での神経ブロック注射も検討されます。 -
安静と生活管理
急性期は安静を保ち、十分な睡眠と栄養で体力の回復を図ることが重要です。喫煙や過度の飲酒は症状を悪化させることがあるため控えましょう。
帯状疱疹ワクチンによる発症予防
帯状疱疹の発症・重症化・PHNへの移行を予防する方法として、ワクチン接種が非常に有効です。現在、以下の2種類のワクチンが利用可能です。
| 乾燥弱毒生水痘ワクチン | 50歳以上が対象の生ワクチン(1回接種)。免疫抑制状態の方には接種できません。 |
|---|---|
| 組換えワクチン(シングリックス) | 2回接種が必要な不活化ワクチン。発症阻止率が90%以上と非常に高く、免疫抑制状態の方も接種可能です。 |
ワクチンの定期接種化について
2025年4月より、65歳の方などへの帯状疱疹ワクチンの予防接種が、予防接種法に基づく定期接種の対象となりました。2029年度までの経過措置として、70歳、75歳、80歳など一定の年齢に達する方も対象です。定期接種では自己負担が軽減されますので、お住まいの市区町村にご確認ください。
早期受診の目安:こんな症状があれば早めに相談を
帯状疱疹は、早期発見と早期治療が回復への近道です。以下の症状に心当たりがある場合は、速やかに受診してください。
- 体の片側に帯状の発疹や水ぶくれが出てきた
- 発疹が出る前から、皮膚の一部にピリピリ・ジンジンした痛みがある
- 顔・目・耳の周りに発疹が出現した
- 皮膚の症状が治まった後も、痛みが続いている
帯状疱疹は発症から72時間以内の治療開始が後遺症予防に極めて重要です。気になる症状があれば、できるだけ早く医療機関にご相談ください。
