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認知症について

これまで30年近く、脳神経内科の専門医として数多くの認知症患者さんとそのご家族に向き合ってきました。かつては有効な手立てが少ないと言われた認知症診療ですが、現在は大きな転換期を迎えています。認知症は単なる物忘れではなく、適切な診断と早期の介入によって、その後の生活の質を大きく変えることができる病気です。当院では、日本神経学会認定の日本神経学会指導医および日本神経学会専門医としての知見を活かし、刈谷駅から徒歩圏内の通いやすい環境で、お一人おひとりに寄り添った温かい医療を提供しています。地域の皆さんが安心して相談できる窓口として、専門的な視点と総合内科の幅広い知識を組み合わせた診療を行っています。

認知症の主な症状:中核症状と周辺症状(BPSD)

認知症の症状は、脳の神経細胞が壊れることで直接起こる中核症状と、その方の環境や性格が影響して現れる周辺症状(BPSD)の2つに大きく分けられます。臨床の現場では、これらが複雑に絡み合って現れることが一般的です。

中核症状(脳の障害によって直接起こる症状)

中核症状は、脳の機能低下によって誰にでも現れる症状です。代表的なものには以下のような状態があります。

記憶障害 新しいことを覚えられなくなり、さっき聞いたことや体験したこと自体を忘れてしまう。
見当識障害 今日が何月何日か、今自分がどこにいるのかが分からなくなる。
実行機能障害 料理の手順が分からなくなる、家電の使い方が分からなくなるなど、計画を立てて実行できなくなる。
理解・判断力の低下 目に見えない抽象的なことの理解が難しくなり、ささいな変化で混乱しやすくなる。

周辺症状(BPSD:行動・心理症状)

周辺症状は、本人の不安や周囲との関わりの中で現れる二次的な症状です。適切なケアによって軽減できる可能性があります。

抑うつ・不安 何もやる気が起きなくなったり、一人になることを極端に怖がったりする。
幻視・妄想 誰もいないのに「人がいる」と見えたり、財布を盗まれたと思い込んだりする。
徘徊・不穏 落ち着きがなくなり、目的なく外を歩き回ってしまう。
睡眠障害 昼夜が逆転し、夜中に騒いだり活動を始めたりする。

これらの症状でお困りの場合は、早めのご相談をお勧めします。詳細は認知症 特設ページもご覧ください。

認知症を引き起こす主な原因とリスク因子

認知症は一つの病名ではなく、脳の病気や障害によって認知機能が低下した状態の総称です。その原因は多岐にわたりますが、多くは脳内の特定のタンパク質の蓄積や、血流の悪化が関わっています。

脳内タンパク質の蓄積 アルツハイマー型認知症に代表されるように、脳内にアミロイドβやタウと呼ばれるタンパク質が蓄積し、神経細胞を傷つけることで脳を萎縮させます。
生活習慣病と血管障害 高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、脳の血管にダメージを与え、認知症の発症や進行を早めるリスク因子となります。当院では総合内科専門医としてこれらの管理も徹底しています。
その他の身体的要因 甲状腺機能の低下、ビタミン欠乏、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫など、治療によって劇的に改善する可能性がある「治る認知症」が隠れていることもあります。

生活習慣病との関連については、「生活習慣病について」のページで詳しく解説しています。

代表的な認知症の4つの種類と特徴

認知症にはいくつかの主要なタイプがあり、それぞれ症状の出方や進行の仕方が異なります。

アルツハイマー型認知症 認知症の約7割を占めます。海馬の萎縮から始まり、最近の出来事を忘れることから徐々に進行するのが特徴です。
レビー小体型認知症 実際にはいないものが見える幻視や、手が震えるなどのパーキンソン症状、意識状態の変動が特徴です。
脳血管性認知症 脳梗塞や脳出血により起こります。できることとできないことが分かれるまだら認知症や歩行障害を伴うことが多いです。
前頭側頭型認知症 感情の抑制が効かなくなる、社会的なルールを守れなくなるといった性格変化や行動異常が目立つのが特徴です。

認知症の治療法:薬物療法から最新の抗体医薬まで

現在の認知症治療は、症状の進行を遅らせること、そして穏やかな生活を維持することを目指して行われます。

薬物療法と新たな抗体医薬

従来から使われている抗認知症薬に加え、近年ではアルツハイマー病の原因物質を除去する新たな抗体医薬(レカネマブ等)も承認されました。これはMCI(軽度認知障害)などの早期段階が対象となります。当院では基幹病院と連携し、最適なタイミングで適切な治療を受けられるよう橋渡しを行っています。

新薬に関する詳細は、「アルツハイマー型認知症の抗体治療薬(疾患修飾薬)について」のページを参照してください。

非薬物療法と生活環境の調整

脳に刺激を与えるリハビリテーションや、介護保険サービスを活用して他者との交流を持つことは、進行を遅らせるために非常に大切です。私たちは介護認定審査会の委員も務めており、適切な介護サービスが受けられるようトータルにサポートします。

認知症診療に関するよくある質問

加齢による物忘れと認知症の物忘れの違いは何ですか?

加齢による物忘れは体験の一部を忘れますが、ヒントがあれば思い出せます。一方、認知症は体験したこと自体を忘れてしまい、ヒントがあっても思い出せないのが特徴です。不安な場合は専門的なテストを受けることをお勧めします。

早期に発見することでどのようなメリットがありますか?

早期発見により、進行を遅らせる治療を早く始められるだけでなく、ご本人が自身の意志で今後の生活や財産管理について決める時間が持てます。また、最新の治療薬は早期段階でしか使用できないため、その意義はさらに大きくなっています。

家族が受診を拒否する場合、どうすればよいでしょうか?

「認知症の検査」と直接伝えず、健康診断や血圧の診察のついでに立ち寄る形など、ご本人が受け入れやすい理由を考えましょう。ご家族の方だけでまずは相談に来ていただくことも可能です。

検査の流れと所要時間を教えてください
  1. 問診と認知機能テスト
    初診時はお話を詳しく伺い、MMSEなどの認知機能テストを行います。
  2. 各種検査の実施
    必要に応じて血液検査や、提携病院でのMRI検査(VSRADによる画像解析)をご案内します。
  3. 診断と結果説明
    院内迅速検査の結果は当日お伝えできます。全体で1時間程度お時間をいただくことが多いです。

院長メッセージ:地域に寄り添う脳神経内科の専門医療

離島医療に従事していた際、「今ある最良の手段で、いかに患者さんの不安を取り除くか」という医師としての基本を学びました。その経験は、今の私の診療の根幹となっています。

認知症診療において最も大切なのは、医学的な正しさだけでなく、患者さんとそのご家族が抱える不安に寄り添うことです。私は日本神経学会指導医および脳卒中学会専門医として、科学的根拠に基づいた診断を行いながら、地域のかかりつけ医として生活の悩みまで含めたサポートを心がけています。

認知症は諦める病気ではありません。適切な治療と周囲の理解によって、穏やかに暮らせる期間を延ばすことができます。一人で抱え込まず、どうぞさくら中央クリニックの門を叩いてください。愛知県刈谷市神明町のこの地で、皆さんの心強いパートナーになれるよう、真摯にお話を伺います。

診察の流れについては、認知症 特設ページにも詳しく記載しています。

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